アンニュイの小部屋――アルフォンス・ミュシャと宇野亞喜良
桜が散ったら、雨が続いたら、小さな美術館で“アンニュイ”に酔いしれませんか?
アルフォンス・ミュシャの才能が花ひらいた19世紀末のパリ。ベル・エポック(良き時代)と回顧される都市文化の華やぎの一方で、文学・美術の世界には妖しく頽廃的な雰囲気も漂っていました。ミュシャが描いた女性たちは、優美な微笑みを浮かべながらも、どこか物憂げな遠い目をしています。本展では代表的な装飾パネルを中心に、ミュシャ作品の華麗さに見え隠れする憂いの表情に注目します。さらに、少女像と幻想的な世界観で知られる宇野亞喜良の作品を刈谷市美術館より特別出品。ミュシャが描く1900年頃の女性と少女、そして宇野が1960-70年代に描いた少女が醸し出す“アンニュイ”の魅力にせまります。
※本展は他会場への巡回の予定はございません。
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アンニュイ【仏:ennui】
物憂さ、気だるさなどの気分、あるいは雰囲気。原義は「退屈」だが、日本語においては「儚げ」「神秘的」など独特の前向きなニュアンスを含む。
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宇野亞喜良(うのあきら)
イラストレーター、グラフィックデザイナー
1934年愛知県生まれ。商業デザイナーとして企業広告やポスター、挿画を手がけるなか、1964年には横尾忠則や和田誠とともに「東京イラストレーターズ・クラブ」を設立。日本における〈イラストレーター〉の先駆者として、半世紀以上にわたり常に第一線で、幅広い表現活動を行っている。2010年には愛知県の刈谷市美術館で大規模な全貌展が開催された。
■出品作品
アルフォンス・ミュシャ:装飾パネル《四つの花》《四季(1896)》《羽根》《桜草》ほか、油彩画《ハーモニー》ほか、書籍『主の祈り』『装飾人物集』、彫刻《ラ・ナチュール》など、パリ時代からチェコ時代の作品まで約80点 ※《黄昏》は前期展示のみ、《黄道十二宮》は後期展示のみ
宇野亞喜良:演劇ポスター「毛皮のマリー」「星の王子さま」、ポスター「ミケランジェロの言葉」「ミニブックス」ほか、『For Ladies』はじめ書籍や絵本の原画など、1960~70年代の作品を中心に約50点
※一部作品は、前期・後期で展示替えをいたします。
■展示構成
小部屋に見立てた5つのセクションで構成。ミュシャと宇野亞喜良、それぞれの作品を紹介する“個室”に加え、時代を超えて2人の美意識が交差する“相部屋”も。
ROOM1:MUCHA 世紀末の光と影/ROOM2:AQUIRAX 典雅な倦怠感/ROOM3:MUCHA+AQUIRAX 華やかで儚い舞台/ROOM4:MUCHA 通り過ぎていく者たち/ROOM5 MUCHA+AQUIRAX アンニュイな少女たち
★音声ガイド(無料)のご案内
マークのある作品は音声での解説をお聞きいただけます。
ご自身のスマートホンをご利用頂きます。アプリのダウンロードは不要です。
展示室入口のQRコードからミュシャ館音声ガイドのWEBページにアクセスできます。
※ご利用の際は必ずイヤホンをご利用ください。
※フリーWi-Fiのご利用も可能です。
※Wi-Fi接続以外の通信料はお客様のご負担になります。
詳細はこちらをご覧ください。
■関連企画
Relation projects.1 「アンニュイの小部屋」展×大阪モード学園
大阪モード学園の学生とのコラボレーション企画を実施。
ミュシャの作品に漂うアンニュイな雰囲気から着想を得た、ファッション・ヘアメイク作品を展示します。
Relation projects.2 「アンニュイの小部屋」展×ローソファ専門店 HAREM
会期中、堺市のローソファ専門店HAREMのソファを展示室に設置。アンニュイな姿勢でゆったりと作品鑑賞を味わえます。
■同時開催 年間テーマ展示
ミュシャを実験的なまなざしで紹介する年間シリーズ展「ミュシャLabo」が始動します。第1弾のテーマは「写真」。ミュシャ作品の裏側にある、写真を活用した制作プロセスに焦点を当てます。